ブラック企業を改善したい!会社ができるブラック企業の改善方法とは
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あなたは自分の勤めている企業を、「ブラック企業」だと感じたことはありますか?違法な営業形態、劣悪な労働環境がまん延している企業をブラック企業といい、さまざまな指針によってブラック企業であるかを測ることが可能です。このブラック企業は、長時間労働という社会問題の一端を担う存在であり、厚生労働省からも喫緊の課題として改善策が取られています。
今回は、ブラック企業を測るチェック項目や、人事ができる改善方法を詳しく解説します。
ブラック企業度チェック項目
ブラック企業とは、厚生労働省では若者の「使い捨て」が疑われる企業(厚生労働省:確かめよう労働条件より引用)と称されています。
以下の条件にひとつでも当てはまれば、ブラック企業であるといえます。
- 月の残業時間が80時間を超え、2カ月以上続いている
- 月の残業時間が100時間を超えている
- 休日が週に一度もない
- 6時間を超えて働いていても休憩時間が与えられない
- 休憩時間も労働を指示されている
- 未払いになっている給与がある
- 残業時間に対して残業代が支払われていない
- みなし残業制、フレックスタイム制、年棒制などを理由に、残業代が支払われていない
- 合意のない給与の減額が行われた
- 辞職を拒否される
- 採用時と入社後で雇用条件が異なる
- 労働災害がごまかされている
労働条件は、厚生労働省が設ける規定やガイドラインによって明確に定められています。上記に当てはまる企業は違法性があり、指導、監督の対象となるブラック企業です。悪質な場合は取り締まりの対象にもなります。
また、大量採用を行い離職者が多い企業も、前述の労働者の使い捨てを行うブラック企業である可能性は高いとされています。
社員ができるブラック企業改善方法
合同労組
企業には、労働者の労働条件や労働環境改善のために相談に乗ってくれる場所である、「労働組合」が用意されているところがあります。労働環境改善は、組織である企業に対し一社員だけが訴えてもなかなか交渉が難しい背景があることから、団体交渉権を持つ労働組合が生まれました。
しかし、ブラック企業といわれる劣悪な雇用環境のある企業では、労働組合はあるが機能していない場合や、労働組合自体が存在しない場合がほとんどです。企業内に労働組合がないときは、会社の枠を超えて個人で参加することが可能な合同労組があります。
労働組合を結成することが困難な職場環境の人でも、合同労組に参加することで、ブラック企業に対して個人よりも強い交渉力を得ることができます。企業は労働組合、合同労組の訴えを無視することは許されておらず、対等な立場での話し合いが可能です。
労働基準監督署
労働基準監督署とは、企業が敷く労働環境や労働時間の現状を、個人が相談できる機関です。厚生労働省の出先機関であり、個人からの通報にとって企業が起こす労働問題に違法性が認められると、企業に対して指導、書類送検などの措置を行います。
労働基準監督署が行う指導、勧告を無視し、指示に従わなければ判断によっては法的処置が科されることもあります。同署への連絡は匿名でも可能であり、メール窓口も開設されています。
厚生労働省のブラック企業対策
厚生労働省では、ブラック企業に対して明確な定義を設けていません。しかし、以下の三つの特徴があると認識しています。
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う(厚生労働省:確かめよう労働条件より引用)
厚生労働省はブラック企業に起こる長時間労働を改善するために、労働基準法や労働衛生法を設け、労働時間の規定を行っています。規定のひとつである「36協定」は、労働者の残業時間を月45時間以内で行わなければならないと企業に指導できるものです。
しかし、企業側に特別な事情があり、企業が行政に対して申請を行っているときはこの限りではありません。「特別条項付き協定」を結ぶと、45時間以上の残業が可能となり、実際には45時間以上の残業時間がある企業は多数存在します。この場合にも、同省は「過労死ライン」を設け、これを超える残業時間を実施しないよう指導、監督に努めています。
また「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として、法令違反を行ったブラック企業をネット上に公開する施策も行われています。ブラック企業に対してのペナルティ的な対策も行われていますが、改善策に向けての働きもされています。企業に対する行政の取組として、専門家によるセミナーの開催や、個別訪問があります。これを受けた企業は、職場環境の改善方法やノウハウを無料で得ることが可能です。
会社ができるブラック企業対策
従業員からのアクションがあったとしても、結局は会社がアクションを起こさないとブラック企業と呼ばれる労働環境を改善することはできません。そこで、会社側が取ることができる対策を紹介いたします。
従業員の意見を汲み取るシステムを作る
ブラック企業と呼ばれる会社では、従業員が抱える悩みや意見を汲み取るシステムがない、あるいは機能していない傾向にあります。 システムがない、あるいは機能していないと従業員は悩みを抱えたままで働きづらくなり、一方会社の方も従業員が抱える悩みに気づかないという状況になってしまいます。
そこで、従業員の意見を汲み取るシステムを作ることが必要になります。
業務・残業の見える化
ブラック企業と呼ばれる理由の一つとして、「残業時間」が挙げられます。社会問題にもなっている長時間労働にも関連します。長時間労働に対しての対策としてオススメしたいのが、「会社側のチームごとの業務量の見える化」です。残業時間でブラック企業と呼ばれる会社の多くは、各チームの業務量が見える化できていない傾向にあります。
解消方法として、チームメンバーがどのくらい残業しているのか、誰にどのくらい負担がかかっているのかを把握すると良いでしょう。いかにして負担を分散するか、残業時間を減らすためにはどうするかの改善方法を見つけることができます。
外部の人の力を借りる
労働環境の改善にはそれなりの時間と手間が必要になります。また、知見や知識が不足していることから、しっかりとした改善方法が見つけられないことが考えられます。
そこで、外部の方の力を借りるという方法を用いるのがオススメです。コンサルタントや外部講師、あるいは企業の力を借りることで効果のあるしっかりとした対策を講じることができるでしょう。ただし、いくらかの費用はかかるのでご注意ください。
労働環境は改善できる
社会問題としても取り上げられることの多い、長時間労働がまかり通るブラック企業。そのため、自社がブラック企業というレッテルを貼られないように対策を取っておくことが必要になります。その中でも労働環境が良くないことは色々なマイナスの影響をもたらします。しかし、従業員の側からアクションを起こすことはなかなか難しいでしょう。よって、会社側から労働環境を改善することが必要になってきます。早いうちに、対策を講じると良いでしょう。